【第7回】法令と行政の関係性【健康保険法・療養担当規則・厚生労働省令】
法律と法令の違いとは?
ぱんだしだ~、法律と法令って何か違うの?
言い方が違うだけで、同じじゃないの?
とりちゃんは、いつも良いところに気が付くわね!
じゃあ、今日も基本的なことから解説していきましょうか。
1.法令って何?
まずは、法令という言葉を分解して考えてみましょう♪
ポイント
法令 = 法律 + 命令 のこと。
法律と命令を合わせて、法令なんだね!
でも、誰が、どんな命令をするんだろ?
知識
命令の種類 … 政令・省令・告示 がある。(命令なので、政令・省令は”~令”となっていますね。)
- 政令 … 別名:施行令とも言います。
- 省令… 別名:施行規則とも言います。
政令とか省令って、中学校で習ったね!
これらは、行政機関からの命令だったんだね!
う~ん、政令・省令(~令)と告示の違いがよく分からないよ~
この2つ違いは、具体例で見てみると分かりやすいわよ♪
2.省令と告示の違いを具体例で確認しよう
ここでは、具体例として、健康保険法に関して、省令と告示でどんな使われ方の違いがあるのかを見ていきましょう。
豆知識
法令の条文の検索方法 e-Gov法令検索(外部リンク)
上記のリンクは、デジタル庁、つまり国が提供している、法令の検索システムなの。法律名などを入力することで、法律の条文を検索することが可能なので、ぜひ利用しましょう♪
❶ 健康保険法の省令の具体例:療養担当規則
療養担当規則は、国家試験で勉強したから聞いたことあるよ!
お医者さんや薬剤師が守らないといけないルールのことだよね!
さすがとりちゃん、しっかり覚えてるわね!
ここでは、もう少し掘り下げて、健康保険法の条文から考えてみましょう。
ポイント
- 療養担当規則は、保険診療・保険調剤で保険医・保険薬剤師が守るルール。
- 療養担当規則は、健康保険法に関する厚生労働省令として規定されている。
具体例:健康保険法 第72条1項(保険医又は保険薬剤師の責務)
保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない。
上記は、健康保険法の条文よ。この条文に出てくる厚生労働省令が療養担当規則なの。
省令は、別名:施行規則とも言うから、語尾が”~規則”となっているわね。
下の図でもイメージしておきましょう。
❷ 健康保険法の告示の具体例:診療報酬点数表・調剤報酬点数表
ポイント
診療報酬点数表・調剤報酬点数表の改定は、健康保険法の告示で行われる。
※厚生労働省令(省令)ではないので注意。
具体例:健康保険法 第76条2項(療養の給付に関する費用)
療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。
上記も健康保険法の条文よ。この条文は、保険診療・保険調剤の点数算定に関して定めた条文なんだけど、”厚生労働省令で定める”ではなくて、”厚生労働大臣が定めるところにより”となっているわよね。
なので、点数表に関して改定が行われると、厚生労働大臣が国民に対して告示をする、ことになるのよ。
豆知識
改定された点数表の告示の掲載があるページ
令和4年度診療報酬改定について(厚生労働省のページへの外部リンク)
名称 … 令和4年厚生労働省告示第54号
上記のリンクは、令和4年度診療報酬・調剤報酬改定に関して、厚生労働省がまとめたページよ。改定の際には、このようなページが作られて、情報が順次公開されていくの。厚生労働大臣が定めた点数表の告示もこのページ内に掲載されているわ。
3.通知・事務連絡って何?
令和4年度診療報酬改定について(厚生労働省のページへの外部リンク)
このページに出てくる、通知とか事務連絡って言葉もよく聞くんだけど、これは何?
実は、通知と事務連絡は、命令ではないから、法令には含まれないの。
ただし、行政機関が法令を解釈したもの、だから、法令と同じような効果があるのよ。
ポイント
- 通知・事務連絡は、命令(法令)には含まれない。(法的な拘束力はない。)
- 通知・事務連絡は、行政機関が法令を解釈したものなので、法令と同じような効果がある。
具体例として、上記のページに出てくる通知のひとつを見てみましょう。
これ、薬局で聞いたことある!
保医発0304第1号ってやつ!
この通知が、厚生労働大臣が定めた点数表の告示に関して、行政機関(厚生労働省)が解釈して発出した通知よ。つまり、点数表を詳しく解釈して解説しているものだから、ここに、点数表に載っている報酬を算定するための要件が記載されているの。
厚生労働省保険局医療課長とかよく分からない人が出てくるよ~
次回の講座では、そういった用語も含めて、通知と事務連絡に関して、もう少し詳しく解説していくわね♪
最後に、用語に関して、基本的な注意事項を見ておきましょう。
注意事項
通知と通達は違うものなので注意。
通知と通達は似た言葉だけど違うものよ。通達は、行政機関の中でのやり取りで使われる文書の名称だから、外部に発出する文書の名称には、通達は用いられず、通知が用いられるので注意が必要よ。