【第4回】医療保険の流れを知ろう【国民皆保険制度】
人生における医療保険の移り変わり【国民皆保険制度】
とりちゃんが小さい頃、お父さんお母さんはどんなお仕事をしていたの?
ウチは自営業で、やきにく屋さんをやってるよ!
そ、そうなんだ・・・
じゃあ、とりちゃんが小さい頃からどんな医療保険に入っていたか、これからどんな医療保険に入るのかを考えてみましょう!
1.国民皆保険制度って何?
小さい頃から何かしらの医療保険に加入しているね。
良いところに気が付いたわね。このように、国民皆が何かしらの医療保険に加入するから、日本の医療保険制度は、国民皆保険制度というのよ。
こくみんみなほけんせいど?
読み方は、『こくみんかいほけんせいど』よ(笑)
覚えておいてね。
2.国民皆保険制度の例外
日本の医療保険は、国民皆保険制度だから、皆が何かしらの医療保険には加入しているはずなんだけど、実はひとつだけ例外があるの。それが生活保護よ。
ポイント
- 生活保護を受けている場合、医療保険に加入しなくてOKになる場合がある。(これを適用除外と言います。)
- 医療保険の適用除外になるのは、国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合。(健康保険などの被用者保険は、生活保護を受けていても加入する。)
※つまり、生活保護だからと言って、絶対に医療保険に入っていない訳ではないので注意。生活保護でも、医療保険の被保険者証を持っていることがある、ということ。
生活保護の人は、医療費がタダなんだよね~!
そうね。生活保護の人が、医療費が無料になるのはもちろんなんだけど、そもそも、生活保護を受けるくらい困窮しているのに、保険料の支払いなんて出来る訳がないわよね。だから医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)が適用除外になるのよ。
健康保険に入ってて生活保護を受けるってどういうこと?
働いてるのに生活保護を受けるの?
働いていても、給与がすごく少なくて生活がしていけないような場合、生活保護を受けることがあるのよ。その場合は、保険料の支払いは給与から自動的に控除されるから適用除外にはならないの。
3.国民皆保険制度まとめ
まとめ
- 日本の医療保険制度は、国民皆保険制度と呼ばれ、人生の中で医療保険が途切れることなく加入する制度になっている。つまり、何かしらの医療保険の保険証を皆が持っている。
- 生活保護では、医療保険の適用除外になることがある。この場合、保険証を持っていない。ただし、国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合のみ。
- 健康保険などの被用者保険は、生活保護を受けていても加入する。つまり、この場合は、生活保護を受けていても医療保険の保険証を持っている。確認を忘れないようにしましょう。
知識
- 保険証の正式名称は、被保険者証。(医療保険の被保険者の証なので。)
現物給付のお金の流れ
ここからは、病院・薬局等の現物給付のお金の流れについて確認していきましょう。
1.現物給付の流れ
❶ 保険料・税金の支払い
被保険者が給与を貰う際、保険料と税金が控除されて、それが保険者と国・都道府県・市町村に納付されます。これが、国民への再分配への原資になります。
❷ 医療機関・薬局の受診
被保険者が、医療機関・薬局を受診した場合、医療機関は診療、薬局は調剤を提供します。このとき、保険を利用するため、保険診療・保険調剤と呼ばれます。被保険者は、自分の保険証の負担割合の料金を支払えばOKです。
それぞれ、1000円の診療・調剤を提供しているから、とりさんの負担額は、その3割の300円ね。
ポイント
- 保険が効く(保険証が使える)医療機関・薬局を、保険医療機関・保険薬局と言います。
- 医療費の計算は、診療報酬点数表・調剤報酬点数表に基づいて行います。(第1回参照。)
- 被保険者が負担する金額は、一部負担金もしくは自己負担額などと呼ばれます。
豆知識
保険が効かない医療機関・薬局の具体例
- 美容整形のクリニック
- 零売(れいばい)薬局(処方箋なしで医療用医薬品の一部を販売している薬局。)
これらの医療機関・薬局では、保険証が使えず、医療費が全額自費になるので注意が必要ね。
❸ 保険者への請求
保険医療機関・保険薬局は、保険者に対して残りの金額の請求を行います。請求を行う書類をレセプトと言い、この請求をレセプト請求と言います。
ポイント
- レセプト請求は、保険者に直接行うのではなく、第三者機関を通じて行う。この機関のことを審査支払機関と言います。(医療機関・薬局が提出したレセプトを審査して、残りの金額の支払いを行うので審査支払機関。)
- 審査支払機関には、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会の2つがある。
第三者機関が間に入って、不正に請求が行われていたり、逆に不当に支払いが行われなかったり、ということがないように監視をするのよ。
上記のポイントを図で確認しましょう。
漢字がたくさんで覚えれないよ~
豆知識
審査支払機関の区別・覚え方
- 支払基金・連合会という語尾で2つを区別しよう。
- 社会保険という文言が付く(社会保険診療報酬支払基金)⇒ 被用者保険(健康保険など)のレセプトを担当
- 国民健康保険という文言が付く(国民健康保険団体連合会)⇒ 主に国民健康保険のレセプトを担当(その他、後期高齢者医療制度のレセプトも担当。)
- 国民健康保険団体連合会は、国保連と略して呼ばれることが多い。
第3回でお話したけど、後期高齢者医療制度は、元々、国民健康保険に含まれていて切り離された経緯があるから、国保連が担当することになっているのよ。
❹ 税金による医療費の負担
医療保険においては、基本的には保険料で負担が行われますが、医療費の一部が、税金によって賄われることがあります。このような制度を公費負担医療制度と言います。
生活保護における医療費の負担は、この制度のひとつです。
2.現物給付の流れまとめ
ここまで解説してきた現物給付の流れを、ひとつの図にまてめておくわね。
この図で今までの知識が全部まとまってるね!
これを理解できるようになったら完璧だ~!
介護報酬・障害福祉サービス等報酬の現物給付
第1回で解説した、介護報酬・障害福祉サービス等報酬は覚えてる?
なんとなく覚えてる!
こんな感じだったよね!
施設名 | 報酬名 | 法律名 | 点数表 | 単位 | 単価 |
---|---|---|---|---|---|
病院・診療所・歯科医院 | 診療報酬 | 健康保険法 | 診療報酬点数表 | ○○点(点数) | 1点=10円 |
薬局 | 調剤報酬 | 調剤報酬点数表 | |||
介護サービス事業者 | 介護報酬 | 介護保険法 | サービスコード表 | ○○単位(単位数) | 1点≒10円(地域差あり) |
障害福祉サービス事業者 | 障害福祉サービス等報酬 | 障害者総合支援法 | サービスコード表 |
実は、介護報酬・障害福祉サービス等報酬も、医療保険と同じような請求方法になっているの。図で見てみましょうか。
ポイント
- 審査支払機関は、国民健康保険団体連合会のみ。(介護サービス事業者・障害福祉サービス事業者は、国保連に対してレセプト請求を行う。)
- 障害福祉サービス等報酬は、社会保険ではないので、保険料ではなく、税金が原資になっている。(つまり、保険者はいない。)
- 介護保険は、社会保険のなので、保険者が支払をする。(これは当たり前ですね。)
障害福祉サービスは、報酬としての制度は似ているけれど、社会保険ではないってところを注意しておかないといけないね!