【第8回】通知・事務連絡ってなに?【調剤報酬改定・保医発0304第1号】
通知・事務連絡ってなに?【調剤報酬改定・保医発0304第1号】
今回は前回の講義の続きよ。通知や事務連絡というものが、どのような構成になっているのかを見ていきましょう。
前回登場した書類(保医発0304第1号)には、差出人と宛名という、2種類の登場人物がいるわよね。まずは、その2種類の人物に関して解説していくわね。
1.通知・事務連絡に登場する人を理解できるようにしよう【保医発0304第1号・厚生労働省の組織】
差出人(登場人物①)の厚生労働省保険局医療課長って漢字ばっかりでよく分からないよ~
これを理解するには、行政の組織・役職を理解する必要があるのよ。
まずは、厚生労働省内の組織に関してみてみましょう。
厚生労働省内の組織
え!これ全部覚えるの!?
全部覚える必要はないわよ。
組織がどんな構造になっているのか、下のポイントを見ながら簡単に確認してみましょう。
ポイント
- 厚生労働省内で、担当する業務ごとに、~局、更にその中で、~課という部署に分かれる。
- それぞれの局や課の中には、局長・課長という長が置かれている。
例:保険局 なら 保険局長 、保険局 医療課 なら 保険局医療課長
厚生労働省保険局医療課長っていうのは、保険局の医療課の課長さんのことなんだね!
ちなみに、文書の右上にある保医発0304第1号の保医発は、保険局の医療課長が発出した文書だということを表しているのよ。多分分かると思うけど、0304は、3月4日のことね。
行政の組織の注意点と宛名部分(登場人物②)
注意事項
すべての行政の組織で、~局(局長)⇒~課(課長)という順位だとは限らない。
これが厄介なところなんだけど、行政によって、局(局長)⇒部(部長)⇒課(課長)という形で~部(部長)が登場したり、部(部長)⇒局(局長)⇒課(課長)と順位が逆になっていたり、法律で順位の決まりがある訳ではないの。
あ!もしかして、文書の宛名の部分の登場人物②で、~部(局)とか~課(部)長ってなっているのは、行政によって組織・役職の名前が違うからってこと?
よく気が付いたわね!さすがとりちゃん!
ちなみに、宛名の部分で登場する主管という言葉は、その業務の担当者さんのことを示しているの。これも、行政によって名前が違うから、このような形で記載してある、ということね。
ポイント
宛名部分(登場人物②)の記載
- ~部(局)や~課(部)長となっているのは、行政によって組織・役職の名前が違うため。
- 主管という言葉は、その業務の担当部署のことを示している。これも、行政によって組織・役職の名前が違うため。
宛名の部分は、①厚生局の医療課の医療課長さん、②各都道府県の国民健康保険の担当部署の長、③各都道府県の後期高齢者医療制度の担当部署の長 になっているってことだね!
つまり、保医発0304第1号は、政府(厚生労働省)が、厚生局や都道府県といった行政機関の下部組織に対して発出している文書だということね。
だから、文書の中に、
貴管下の保険医療機関等及び審査支払機関に対し、周知徹底を図られたい。
って書いてあるんだね!
とりちゃん、冴えてるわね!
だから、最終的には、医療機関や薬局は、通知や事務連絡の内容を守って業務を行う必要がある、ということになるのよ。
2.通知・事務連絡まとめ
まとめ
- 通知・事務連絡は、厚生労働省内の部署である、~局の局長や、~課の課長が発出する。(保医発=保険局 医療課 の 課長 が発出した文書、保発=保険局 の 局長 が発出した文書。)
- 通知・事務連絡の宛先は、厚生局や都道府県の担当部署の長。
- 厚生局や都道府県の担当部署の長は、医療機関・薬局に内容を周知徹底しなければいけない。
- 通知・事務連絡は、命令(法令)には含まれず法的な拘束力はないが、政府(厚生労働省)が法令を解釈し、周知徹底を図っているものなので、法令と同じような効果がある。
漢字がたくさん出てきて初めはとっつきづらいですが、ひとつずつ学んでいくと、実はそんなに難しいことではないということも分かりますね♪
通知と事務連絡の違い
そもそも、通知と事務連絡って何が違うの?
前回の講義でも少しだけ出てきたんだけど、通知は法令を解釈して細かく解説したもので、事務連絡は、通知よりも更に細かく解説したもの、なの。
これだけでは分かりづらいから、前回登場した、
令和4年度診療報酬改定について(厚生労働省のページへの外部リンク)
このページの中で、調剤報酬改定に関して、特に重要な部分に関して見てみましょう。
ポイント
- 調剤報酬改定(診療報酬改定)に関する健康保険法の告示は、法令。
- 名称 … 令和4年厚生労働省告示第54号(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)
- 制定文
- 別表第1(医科点数表)
- 別表第2(歯科点数表)
- 別表第3(調剤点数表)
- 上記に対する通知は、点数表の算定要件を行政(=厚生労働省)が解釈し解説したもの。
- 名称 … 保医発0304第1号(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について)
- 本文
- 別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
- 別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項
- 別添3 調剤報酬点数表に関する事項
- 様式 医科
- 様式 歯科
- 様式 調剤
- 事務連絡は、更に詳しく解説したもの
- 名称 … 疑義解釈資料の送付について(いわゆるQ&A)
※その1~その62まであるので、事務連絡に関しては、リンクを省略します。
豆知識
事務連絡の疑義解釈資料が、いわゆるQ&Aのこと。
Q&Aって普通に使ってたけど、厚生労働省が出してる事務連絡のことだったのか!
簡単にまとめると、通知の保医発0304第1号に沿って業務を行って、細かい部分を事務連絡のQ&A(疑義解釈資料)で確認する、ってことね。
私の書籍は、これらの内容をより分かりやすく解説している書籍になっているから、ぜひ読んでみてね♪